見知らぬ世界④(草薙 総一郎)

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今日も、彗はどこかに出かけていった。

食べ物だけでなく、何かを探しているようだ。
何かとは・・
たぶん、人だろう。

この世界にまさか2人だけとは思わない・・思いたくない。

きっとどこかに誰かいる。

そんな希望は彗だってもっているはずだから。

その日の夕方。

帰ってきた彗は、白い小さな犬と・・・見知らぬ人を連れていた。

「ここに住んでいるのか」
「ああ、もう一人いる」

足が治りかけた僕が玄関口まで出て行くと、その人は「ああ、よかった」
と、言って近づいてきた。

「は・・Hello!」

「Hello!」

現れた人は青い目金髪の男だった。
言葉が通じるだろうか?

「この人は、彗の知り合い?」
「いいや、知らない奴だ」

てっきり、外人仲間かと思った。
彗だって、銀髪だし。

「ああ、君は日本人か」

彼は言い、ほっとしたようだった。

「どこの・・方ですか?」

一応、日本語が通じるようだ。

「日本人だよ。今はこんな頭だけど」

と、彼は髪を触って笑う。

「なんだ染めてんのか、それ」

彗が言った。

「君だって染めてるんだろ?」
「いいや、ナチュラルだ」
「そ・・そうか・・それはごめん・」

コホンと一つ咳払いをして、彼は名乗った。

「僕は、草薙総一郎。う~ん・・よろしくでいいのかな・・?」

片手を差し伸べられたので、僕は慌てて握り返した。

「僕は柊 浮雪。よろしく!」

「ああ、本当にどうしようかと思っていたんだ。僕は今までシロ・・この犬だけど。
と一緒にいて、誰もいないと思ってて・・本当に嬉しいよ!これからよろしく」

「食いぶちが減るな・・」

彗の一言に、二人とも硬直・・。
真実は時として、奇跡よりも痛い。

「あ、・・そのっ・・がんばるよ!水も探すし、食料も!迷惑はかけない」
「うんうん、大丈夫。そうだよね、彗」

僕が振り返ると、彗はじっと総一郎を見て、ポツリと言った。

「いつまで、人の手を握っているんだ。おまえはそんなに人の手を握るのが好きか?」
「!」

総一郎は慌てて、僕の手を離した。

この人は、たぶん僕と同じくらいの歳で・・髪を金髪に染めたりしているけれど、不良と呼ぶにしても、ビジュアル系と呼ぶにしても、迫力が足りない気がした。

どこか、いいとこの坊ちゃんみたいな、ほわーんとした雰囲気を漂わせている。

「浮雪、君たちの部屋はどこだい?」

総一郎はシロを連れて、僕に付いてきた。

部屋に戻ると何時の間にか、彗が戻っていた。
布団を片付けている。

「あ、ごめん。片付けるの忘れちゃっててさ」
「・・」

彗は無言で布団をたたみ終ると、恐ろしくドスのきいた声で言った。

「愛の巣へようこそ!」

「・・・」
「・・」

「ね・・浮雪・・君はあの人とどういう関係なんだ?」

ポツリと総一郎が言う。

「ご、誤解だよ!ふ、普通・・普通の関係だ!・・ね、彗!」

「昨日だって、抱いてやった」

「・・!!!」
「そそそ・・っなんか言い方違うだろ!!」

人の気も知らず、総一郎が真っ白になっているのも気にせずに、彗はフフ・・と笑い
一気にしゃべりだした。

「寝場所は自分で作れ。あと、朝食はそのカンパンと、夕食は缶詰一つ。
水は大切に使え。取りに行くのが面倒なんだ。・・わかったな」

総一郎が、そんな事をちゃんと聞いていたかどうかはよくわからない。

結局、その夜、総一郎は眠れなかったようだ。
翌日に目の下に隈を作っていた。

そういうわけで、僕達には一人仲間が出来た。


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