「どこ行こうかな?」
最後は高松に泊まる予定だったが、トトは迷っていた。
まだどこかにまわれる気がしたのだ。
「トト…足…」
「う、うう。大丈夫だと思う」
ジュールの目から見ても、トトはとぼとぼ歩いているようだ。
トトは連日歩き回っているせいで、足をやられていた。
初めは宮島の弥山で、次は金比羅さんの階段で。
これ以上どこへ行こうというのか?
トトはふらふらと歩いて、JR琴平駅へ…向かうのかと思いきや、琴電のほうへ向かっていく。
「うどんを食べてみたり…」
昨日の夜、讃岐うどんのおいしいお店という雑誌を見ていたので、滝宮に行ってみたくなったらしい。
「兄上。もしかしたら、その駅何もない駅かもしれない。うどん以外」
「もしそうだったら、琴平から高松まで行くんだ」
小さな可愛い電車に乗って…二人は讃岐の地を進んだ。
すると、景色が黄金に輝いて見えたので、トトは指をさした。
「あれはなに?お米?」
「あれは…小麦かな?」
「うどん県だからだね~」
なかなかこの国では珍しい光景に、二人は息をのんで黄金の園を見つめ続けていた。
高松までの路線図を見ていたトトがいきなり「屋島へ行こう!」と言い始めたので、ジュールは驚いた。
「え!いきなりそこ行くんですか?」
「行かないといけない気がしてきた」
「なんだそれ…」
実はジュールもトトと同じくらい疲れているのだが、トトはこうと決めたらなかなか突き進んでしまう人で…。
「でも、また急激なハイキングだったら駅まで行って、Uターンですよ!」
「うんうん。そりゃそうするよ」
トトは頭をコクコクと動かして頷く。
なるべくなら、江の島程度の距離がいい。
そして、屋島という駅についたのだが、駅以外何もない。
「バスなのかな?」
ジュールが時刻表を見て、15分後に着くことがわかった。
「バス停はどこだろう?」
ほかにも人がいたので、待っている人々のところへ行ってみることにした。
しばらくするとバスがやって来たので、それに乗る。
「江の島みたいに歩いていけるところだと思ってたよ」
「ああ、距離もそうだけど、まず歩いていける島っていうのが驚き」
バスの中のアナウンスで、屋島もかつては本当の島だったことがわかる。
しかし、その後つながったそうだ。
「これで終点まで行こう」
「帰りの時間も見ておかないとね」
いつもより、かなり用心深くなっているジュールだった…。
(弥山でのこと、金比羅さんでのこと…が続いたから、無理もない)
しかし、トトは懲りていない様子。
「屋島に名物のおいしいものはあるかなぁ?」
窓の外を見ながらルンルンだ。
バスは、屋島の観光施設前で止まった。
ジュールが時刻表を見てトイレに行っている間に、トトは…
「兄上~」
「このおでんすごく美味しいんだ!」
トトがイイダコに食らいついていた。
「もう~私も一つ買ってしまおう」
兄弟で食いしん坊は変わらず。
結局、二人でイイダコのおでんを食べてから、観光客の進んでいる方向へ歩いて行った。
「お寺があるようだけど」
「ずいぶん大きなお寺だね」
トトはきょろきょろと見回していたが、面白いものを見つけて走っていった。
「見てよ!たぬきさん!!」
2匹の大きなたぬきの像が立っている。
「ここはたぬきさんの神社なんだね!」
「お寺の中に神社があるって光景は珍しくないけど、これは面白い!」
「ご利益は…なになに子宝?」
「うーん、微妙」
「まぁいいや、私は世界中のたぬきのために祈るよ」
たぬきの神社とお寺にご挨拶をして…。
また、人が進んでいく方向へ行くと、展望台と書いてあった。
「お皿を投げてみよう」
ジュールが一足早く小さな窓口へ向かっていた。
「なになに!面白そう!」
二人は願い事が叶うという土でできた小皿を「ここから投げてください」と書いてある崖の上から投げた。
「いやっほーー!!」
「何を願ったの?」
ジュールが聞くと、トトは大慌てで
「投げることに精一杯で、忘れてたよーー!!」
「あーあ」
「ジュールは?」
「トトよりも遠くに飛ばせるようにって」
「うそーー」
「本当だって!」
今日は天候もよく、笑いあう二人の前には青い海と青い空が広がっている。
「あ~やっぱりここも源平の地だね。不思議」
ソフトクリームを食べながら、トトは景観を眺めていた。
「一口…」
「えっ!買ってきてよぉ!」
「一つは食べたくないんですよ、ほらそういう時ってあるでしょ?」
しぶしぶ、ジュールにアイスクリームを差し出しながら、トトは再び瀬戸内海を見た。
「本当にいい日…」
「たしかにいい味だ」
「あ===!」
半分なくなっているソフトクリームを見て、トトは悲鳴をあげる。
「ちょっと!ちょっと!もう買ってよぉ!!」
「ほら、コーンの中にいっぱい入ってるから」
「もう一つ買ってよぉ!!」
絶好の天気。最高のロケーション。残念な行為…。
ソフトクリームを巡る兄弟の攻防戦はまわりの人々には、面白く見えたようだ。
そばで子供までが笑っていた。

