小説

イルミーネ国の物語

-傷 6-


アンナはごく普通の女性だった。
誰もが、望むささやかな幸せだけを望み、誰もがもっている寂しさに振り回されて・・・
誰もが当たり前のように楽しんでいる恋を・・・彼女はそれだけは命がけだった。


イルミーネ国の物語

-傷 5-


「自分の惨めな立場を認めろ」
静かな声は、普段のその人と明らかに違っていた。
アルキュード公がどういう表情をしているか、ここからでは見えない。


イルミーネ国の物語

-傷 4-


自分の魂まで持っていかれてしまう。
徐々に自分の存在感が薄れていく。
もう、彼女と僕の境がなくなっていく。
彼女の瞳に映る僕は、もはや一個体の抜け殻でしかない。


イルミーネ国の物語

-傷 3-


僕は、はっきり言って世間に疎い。
彼女がどんな事情を抱えていても、僕にはわからない。
それでも、僕はアンナのそばにいて力になってやりたい。


イルミーネ国の物語

-傷 2-


彼女は、アンナという。
別に花屋の店主と言うわけでなく、雇われて働いているそうだ。


イルミーネ国の物語

-傷 1-


眼鏡を取る前に、彼女の顔が見えたのは幸いだった。
たぶん、僕よりも一回りは年上のようだ。
しかし、どこかしら可愛らしい少女の面影を残している。


イルミーネ国の物語

-せめて、ひとさじの優しさを-


「今日、ここに来れたのも、あそこで美味しくおそばが食べられたのも、こうして二人で歩いていられるのも、奇跡のように嬉しいこと」


イルミーネ国の物語

-お気に入りの一冊-


黄色い表紙には、「流行のレストラン」という文字がかろうじて読める。
不思議なことに、トトはこの本を眺めていると、気持ちが落ち着いてよく眠れるのだった。


イルミーネ国の物語

-私を染めて-

ある一夜の幻想。短編というかポエムに近い。トトの美意識というか…妖しい。
イルミーネ国の物語

-海へ-

これがイルミーネ本編とどう関わってくるのかは、読者の感性にお任せします。
これがトトが創作している物語なの一つなのかも。
イルミーネ国の物語

-さようなら-

もっといい加減でいいのだ。我々は、天国でも地獄でもない世界を生きている。
愛を抱えて、地獄から手を伸ばさなくてもいいんだ。
イルミーネ国の物語

-友達 8(本編最終章)-

でも、あの思い出だけは特別。
あの人だけは特別。
あの人こそ、私の命。
私の魂そのもの。
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